モリブデンの融点は2620℃と金属中で高いほうであり、沸点についても4600℃以上と高い。また蒸気圧が2530℃において1×10 −2 (Pa)と低く、高温材料として優れた特性を有している。しかしながら通常、金属単体は特に高温で反応性が高く、2種以上の金属が高温で接すると多くは合金化し、また固溶する。金属蒸発用るつぼを金属製とすることは、るつぼと蒸発させる金属と合金化や固溶を起こし、るつぼの破損に繋がる場合がある。特に、金属を溶融させ、さらに一定の蒸発量を得るためには、通常、融点よりも高い温度が必要であり、蒸発効率を上げようとするほど高温での処理が必要となる。そのために、金属や合金を蒸発させる蒸発用るつぼを考慮する場合は、「金属と蒸発用るつぼとの反応」を主に検討する必要がある。