ラット及びイヌでの反復投与試験において、肝及びその他の臓器の細胞質内に

ラット及びイヌでの反復投与試験において、肝及びその他の臓器の細胞質内に薬物－リン脂質複合体によるとみられるリン脂質空胞が認められた。このリン脂質空胞と組織内薬物濃度との関連性を検討した結果、①ラット 200mg/kg 又はイヌ 30mg/kg の 5 日間投与で、組織内アジスロマイシン濃度が 500μg/g 前後と高い場合に、肝、リンパ球などに軽度のリン脂質空胞が認められた。②このリン脂質空胞形成には肝組織、リンパ球内リン脂質量の変動は伴っていない。③これらの脂質空胞は休薬により消失する可逆性の変化であった。④類薬エリスロマイシンとのイヌでの比較試験において、エリスロマイシンでは肝、リンパ球内薬物濃度がアジスロマイシンよりも低いが、リン脂質量は認められていない。⑤ヒトでは血清・尿・リンパ球内のリン脂質量に変動はなく、リンパ球内に脂質空胞は認められていない。これらの成績から、ラット、イヌでみられたリン脂質空胞はヒトでの臨床用量における組織内の本剤濃度に比べて数十倍高い組織内濃度で発現することを考慮すると、このリン脂質空胞がヒトで発現する可能性は低いと判断される。なお、リン脂質空胞は他のマクロライド系抗生物質や三環系抗うつ薬などの親水性と脂質親和性を併せ持つ薬物を動物に反復投与した場合に発現することが報告されている。