失敗したときのその人の人間関係が問題である。どのような人間関係のなかでその人は失敗したのか?生まれてからどのような人間関係のなかで生きてきたのか、それが問題である。失敗して傷ついた人も、もし違った人間関係のなかで失敗していれば、同じ失敗は違ったものとして受け取られているはずである。失恋でも不合格でも、もし違った人間関係のなかで体験をしていれば、それはまったく違った体験になる。一つひとつの事件が尾を引くのは、その遠い昔の事件が、そのときの社会的枠組みのなかで起きて、その枠組みにいまだにとらわれているからである。「もういい加減に忘れてもよいのではないか」とまわりの人は思う。しかし本人は忘れられない。その事件がその人の今の感情、不愉快だとか不満だとかいう感情にまで影響力を持ってしまう。