本研究では,アンケート調査によって,琵琶湖における今後の汚濁負荷対策に関する研究者間の意見分布とその構造を把握することを試みた。その結果,研究者の多くが点源負荷対策より面源負荷対策を重要視していること,その一方で,費用対効果の観点から評価が分かれるのも面源負荷対策であること,また値を「より減少させるべき」とする回答割合は有機汚濁指標 (COD, BOD,TOC) よりも富栄養化指標 (T-N, T-P) の方が高いこと,ただし,T-P に関しては値を「より増加させるべき」と考える研究者も少数ながら存在することなどが明らかになった。以上のようにいくつかの課題は残されたが,本研究によって,今後の琵琶湖における負荷対策に関する,研究者間の意見分布と分布の構造を把握することができ,意見分布とその構造とを生み出している要因についてもある程度考察することができたのではないかと考えられる。本研究の成果が,琵琶湖における今後の負荷対策を考える上での資料として役立つことができれば幸いである。