ニキの両親は相変わらず世界中をあちこち飛び回って、のびのびと未知の食材

ニキの両親は相変わらず世界中をあちこち飛び回って、のびのびと未知の食材探しに勤しんでいるようだ。ニキが家に戻るのは、ほとんど帰ってこない彼らの代わりに、部屋に風を通すためであった。人の住まなくなった家は早く傷んでしまうというから。 その時ニキは三人前のスパゲティ・ミートソースとチーズたっぷりのオニオンコンソメスープ、それからサラダボウルにぎっしり敷かれた廃棄寸前の萎びレタスの上に、トマトやらブロッコリーやらスナックエンドウやら冷蔵庫にあった野菜を適当に詰め込んで、さらに揚げ芋とベーコンをドカドカとのっけたサラダを残さず平らげたばかりだった。満腹になったニキは狭いリビングに足を投げ出して、ベッドに背中をあずけてテレビを眺めていた。