ツァンモやジェイ等の生活のなかに伝承される音楽は、近年産業構造の変化や学校教育の充実により歌われなくなっている。ツァンモの歌詞内容には仏教的な教えや生活の知恵等が込められており意味深いが、国語(ゾンカ語)は英語やネパール語の影響力におされ、各地に継承された地方言語は消滅の危機にさらされている。言語の消滅は民俗音楽文化の存続にも深刻な影響を及ぼすことになる。これらの経緯から、 ブータンの民俗音楽文化を調査・研究することが 喫緊の課題であると認識した。同時に 、 シンポジウムでの意見交流を通して 、 日本側からの調査報告という一方的な形ではなく 、 日本・ブータンによる共同調査・研究を実行し 、 今後は双方向的に 文化の継承を議論する ことが 求められる 、 と強く認識させられた。( 2 ) 関連する国内外の研究動向と本研究の位置づけ1- -( ( 1 1 ) )で述べたように、ブータンの「うた」研究、中で