脳内に埋め込んで、皮質から深部までの脳全体の電気的・化学的情報を収集し、脳機能の解析や脳神経疾患治療・脳機能張などを可能とする脳インプラント多機能集積化神経プローブの研究を行っています。プラットフォームとなるシリコン製プローブの先端には脳神経の活動電位を高密度に記録できる両面電極や脳内のpH等を測定する化学センサ、薬液を注入するマイクロ流路、光による刺激を可能にする光導波路などを作り込んで、脳内の種々の情報を記録します。神経プローブの根本には記録した情報を処理する集積回路を搭載します。処理した情報を外部の装置に有線または無線で送り、さらに詳細に調べることもできます。神経プローブ自体に多様なセンシング機能と知能的な情報処理機能を持たせることで、従来よりも多くの情報を一度に入手して解析することが可能になります。これまで、本研究室ではSiウェハ貼り合わせ法を用いてマイクロ流路付き両面電極神経プローブを作製しています。この神経プローブを用いて興奮性の神経伝達物質であるグルタミン酸をモルモットの海馬スライスに投与し、神経細胞を局所的に刺激すると同時に神経細胞活動電位の記録も行っています。また、同一神経プローブ上に記録電極と光導波路を形成し、光刺激を行いながら神経活動を記録することが可能なプローブも開発しています。これら種々の神経プローブを国内外の研究機関に提供しており、基礎から医療応用まで幅広い共同研究を展開しています。