タングステンの融点は3380℃と金属中で最も高く、沸点についても5500℃以上と高い。また蒸気圧が2727℃において1×10 −2 Paと低く、高温で使用する材料として優れた特性を有している。しかしながら、金属単体は特に高温で反応性が高く、2種以上の金属が高温で接すると多くは合金化し、また固溶する。金属蒸発用るつぼ(以後、単に「るつぼ」とも表記する)が金属製であれば、るつぼ成分と溶融した金属とが合金化や固溶を起こし、るつぼを破損する場合がある。特に、金属を溶融させ、さらに一定の蒸発量を得るためには、通常、金属の融点やそれよりも高い温度が必要であり、蒸発効率を上げようとするほど高温での処理が必要となる。そのために、金属や合金を蒸発させる蒸発用るつぼを考慮する場合は、「金属と蒸発用るつぼとの反応」を主に検討する必要がある。