授業 お教室が本当の電車で、“かわってる”と思ったトットちゃんが、次に“かわってる”と思ったのは、教室で座る場所だった。前の学校は、誰かさんは、どの机、隣は誰、前は誰、と決まっていた。ところが、この学校は、どこでも、次の日の気分や都合で、毎日、好きなところに座っていいのだった。 そこでトットちゃんは、さんざん考え、そして見回したあげく、朝、トットちゃんの次に教室に入ってきた女の子の隣に座ることに決めた。なぜなら、この子が、長い耳をした兎の絵のついた、ジャンパースカートをはいていたからだった。 でも、なによりも“かわっていた”のは、この学校の、授業のやりかただった。 普通の学校は、一時間目が国語なら、国語をやって、二時間目が算数なら、算数、という風に、時間割の通りの順番なのだけど、この学校は、まるっきり違っていた。何しろ、一時間目が始まるときに、その日、一日やる時間割の、全部の科目の問題を、女の先生が、黒板にいっぱいに書いちゃって、「さあ、どれでも好きなのから、始めてください」といったんだ。