白い衣装を纏って夜の街を駆け抜ける。 手にした獲物を月光に翳し、また駄目だったとため息を吐く。 返却作業を終えた数時間後には朝日が昇って、また新しい一日が始まる。 過ごす「今日」は未体験のはずなのに、どこか判で押したような、決まりきったことの繰り返し。何もかもが呆れるほどに「いつも通り」の、そんな日々。 探し物は見つからない。手がかりは掴めない。本当のことは言えない。 決断に悔いはない。こうやって生きることを選んだあの夜の自分は正しかったとそう思う。それでも時折ふと思う――自分はあの夜から少しでも前進したか? 答えは、否。 前に進めない。未来が見えない。嘘が、やめられない。 あの日の夜が、もうずっと、終わらない。 この夜は、いつになったら明けるのだろう?