〈4.新たなる挑戦〉近世以前の大工家や棟梁は、今でいうところの設計・設計監理を担当する大工頭や御大工、現場で施工を担当する大工組や棟梁に大別され、家格によって職能が限定されていました。明治時代以降、これら多くの大工家や棟梁は、請負会社として組織化し、学校教育を受けた建築家を取り込むなどして、設計と施工を一式で請負う業態が誕生し、現在における建設会社の原形となります。ここでは、清水組、堀江組など規模の異なる工匠家について、高い技能が反映された請負業務の例を紹介します。五十九銀行新築正面之図五十九銀行新築正面之図1900年頃 青森銀行本店蔵(原建物:明治時代/重要文化財)太宰治の生家「斜陽館」を設計した堀江佐吉氏による設計です。