と歌う“落堕”を聴くためだけにでも手に取る価値はあると思う。こんな歌詞を他の誰が書き得ただろう。絶対に言ってはいけないことだろう、それ。たまに親父ギャグの域を出ないこともあるが、こういった言葉遊びの巧みさで五十嵐さんの右に出る者はいない。また、“リボーン”はファンからの人気も高く、解散公演で最後に演奏されたほどだが、実際は五十嵐本人が「リアリティがないので好きではない」と語った曲である。世に放った時点で、作品は作った人間の手を離れ、それを鑑賞する人間によってそれぞれ異なった形で解釈されることになる。そもそも五十嵐さんは「意味から逃げるために音楽を聴くのに、音楽に意味を求めるということがわからない」と語っていた。少なくとも彼は音楽に救われ るなどという経験はしていなかったし、自分の作る音楽が誰かを笑顔にできるなんて考えたこともなかった。