「俺は別にお前を抱けなくても良いんだよ。お前が俺の所にいてくれるなら、一生抱けなくても構わない。家でそういう音聞きたくないならしない。いいか、善逸。俺はお前に心底惚れてる。お前が俺と生きてくれるなら、どんなお前でも良いんだよ」分かったか、と聞いてくる宇髄に、善逸は手を伸ばす。背に腕を回される。とても温かい。がっしりした体躯。人肌というのはこれほど温かいのか。力強い鼓動が訴えてくる。「なあ、善逸、ここを出ねぇか?」もういいよね。もういいんだよね。もう我慢しなくていいんだよね。善逸は男の腕の中で、また問いかける。「俺、学もないよ?」「そんなもんいくらでも教えてやる」「作法なんて知らないよ?」「これから身に付ければいいだろ」「足手まといにしかならないよ?」「そんなことならねぇように、俺が鍛えてやるよ」「俺、戦えないよ?」「んなことしたら、縛り付けるぞ」「お嫁さんみたいに役に立たないよ?」「それは俺が決める」「お嫁さん俺のこと受け入れてくれないんじゃない?」「お前のこと言ったら、派手に喜んでたわ」「俺、なんにも持ってないよ?」「これから持てばいいじゃねぇか」「俺、宇髄さんに何も渡せないよ?」「お前がいるなら、何もいらねぇよ」「こんな俺でいいの?」「善逸だから良いんだよ」強く抱きしめられる。これほど自分を求めてくれるなら、いいか。善逸も強く男を抱きしめた。「俺も、俺も宇髄さんが好き、お願い、俺をここから出して、俺も一緒に連れて行って」「よく言った」宇髄は神様だ。あの時、やべぇ奴だと思ってごめんなさい。貴方は俺を救ってくれた。貴方が望むなら、俺があげられるものすべて、貴方に捧げます。だから今は、貴方に最上級の笑みを捧げましょう。