本作では、それまでのM78星雲を出自とする、いわゆる宇宙人としてのウルトラマンの設定を一新し、超古代にルーツを持つ光の巨人と設定したことも新味があった。しかしながら、これらの設定は細部まで詰められていたわけではない。むしろ、話数が進んで行く中、数々の偶然が重なり、見事な縦軸を構築するに至った点が特筆に値する。たとえば、第1話「光を継ぐもの」で、タイゴが石像と一体化する際には、脚本では「デオ209」と呼ばれる、人間のDNAを操作して光へと転じる装置が介在していた。このSF的な設定が編集段階でオミットされたことで、ウルトラマンの存在は抽象化され、かつてのウルトラマンが持ち合わせていた神秘性に回帰する結果となり、引いては「ウルトラマンティガ」を通じての大きなテーマとして提示されていくこととなる。 このウルトラマンを「光」とする概念自体は、初代ウルトラマンの出自となる「光の国」に由来するものとみて間違いないだろう。本作では第1話のラストで、予言者ユザレによって「巨人を蘇らせる方法はただひとつ。ダイゴが光になることです」と語らせており、「人が光になることとは?」との問いがシリーズを通じて模索されていく。一方、ダイゴには超古代のDNAを受け継ぐ、「選ばれし者」としての宿命が課せられていたが、第3話で作品イメージを決定づけ、実質メインライターとして関わった脚本家の小中千昭は、これを選民思想だと忌避し、ダイゴの人間としての魅力を掘り下げていくこととなる。その辺りはダイゴのGUTS加入への過去が描かれた第34話「南の涯てまで」に顕著に表れている。ダイゴ自身はウルトラマンという特異性を背負いながらも、決してスーパーヒーローではなく、彼自身の人間味があるからこそ、ウルトラマンでもあり得るといったふうにフォーカスされていった。